小五郎〜容谷山周回

06/12/26 KOHC,Aoi-toriS道)、fumifuku(記)


容谷南尾根の急な斜面を下降

11月新入会のfumiから小五郎山へ行きたいと希望があった。自分はまだ一緒した事は無かったがかなり健脚と聞いていたので、小五郎ピストンや足谷林道へ周回では物足りないだろう。それならと読図訓練や藪漕ぎ体験も出来そうな容谷山を経ての周回を提案した。この山域は無雪期には行ったことが無く、容谷山から南の破線に至っては全く未踏だった自分にとっても興味あるプランとなった。

 

 向峠でfumi車と合流し宇佐への旧道に入り養豚場付近で駐車地を探すが見つからずさらに進み地形図にない林道取り付きの様な広い場所に1台デポ。再び戻り向峠から小五郎をめざす。

 林道から登山道に取り付き、冬枯れの木立を登っていく。今回も読図をしながら進む。明瞭な登山道なので必要はないが、読図能力向上を目指しここ最近常に心がけている。天気予報どおりの曇天だが、小五郎山頂からは意外に良い視界が展望出来る。Aoi-toriが安蔵寺、小五郎、羅漢が直線に並んでいると言う。なるほどその通りだ。下方に目をやると、高速が見え下山予定の橋を探す。浦石峡をまたぐ赤い橋の手前にあるはずだがギリギリ見えない。


小五郎山頂

小五郎山頂から見たの容谷南尾根


 周回めざし北へ向かう。とたんに道は笹が覆う様になり、登山者の多くが小五郎ピストンであることが読み取れる。隠れた倒木にfumi転び、さっそく藪の洗礼。倒れた笹や木があると分かり難い登山道をさらに覆い隠し、判別不能となって見逃すことも度々でしばし藪漕ぎを強いられる。笹を掻き分けながらではあるが、やはり登山道は効率が良い。

 急な尾根を笹を持ちながら下り、小ピークを越えるとカリマタ峠の鞍部となる。時間や天候によってはここから足谷林道へエスケープ可能だが、今日は必要ない。


小五郎山から容谷山まで続く笹藪

 ここからも稜線は笹のじゅうたんが覆い疎な潅木が笹上に伸びている。好きな景色だが、笹丈は胸から頭近くまであり進むにはなかなか大変だ。常に読図し現在位置を把握しながら進む。

 このルート一番の登りの急斜面を過ぎると少しで容谷稜線に到着。容谷山頂でちょうど昼となり食事とする。fumiがジェット何とかと言うコンロで湯を沸かしている。店で見たことはあるがはたして...エッ、もう終わり?!。早すぎてマジックの様だ。重量とかさばりはどうだろう。気になる一品だ。

 さて、本日のメインエベントの未知に突入。おそらく藪だろう。755から先は読図も少々難しくなりそうだ。これからが楽しいルート。

 しかし期待に反し踏み跡いや道がバッチリ。午前中よりよほど歩きやすく読図も必要ないほど。間違う可能性がありポイントの一つと考えていた755から分岐する尾根も簡単に分かる。念の為地形図とコンパスで確認するが、なにせこの尾根だけ刈り払われているのだから明瞭過ぎて拍子抜け。この先からは尾根が斜面状になりもうひとつのポイントと考えていたが、これも思ったより明瞭な尾根形状である。

 読図は案外簡単だったが、地形図どおりの40度を越える急斜面には岩もあちこちに出現し踏み跡も消え安全そうなルートの見極めが必要になる。アドベンチャー心がくすぐられなかなか楽しい。

 さて、地形図の破線は最後に沢地形に入りこの沢に架かる高速の橋をくぐるように続いている。下部に見える地形も地形図のとおりで徐々に斜面を下り沢に入る。

 予定通りの沢だが、そのまんま小さな沢があるだけ。沢沿いにあったかもしれない小道はおそらく崩壊したのだろう。仕方なく沢を下るが登山靴ではスリップに気を使う。ざらついた花崗岩でフリクションは良いが、堆積した落ち葉に要注意。目の前に低いスラブ状滝が現れ補助ロープでの懸垂かと思ったら左岸にテープがあり簡単に巻けた。


沢に入る

この道は? 向こうが高速


 さて予定どおり高速道の橋が前方に...と思ったら大きさが違う。橋の右手をよじ登ると舗装された4mくらいの車道。地形図を見るがこんな道はない。このすぐ先に予定の高速があり目的の橋も見える。はてさてこの道は何?、どこに繋がる?。

 しばらく考えたがとりあえず左(東)へ進んでみる。道は少し登りすぐに下降を始める。さらにくるっと輪を描くようにして高速道路に向かい「吉和26」と表記のあるトンネルをくぐり抜ける。どうやら朝置いた未知の林道の様な道に繋がりそうだ。とすればデポ位置にピッタリとなる。

 予想通りに前方に愛車が見え、最短で周回となった。

 

記 録

 向峠発7:307:50登山取付き8:008:50十王のコル〜9:23小五郎山9:4010:25カリマタ峠〜11:35容谷稜線〜11:50容谷山12:4014:13未知の道〜14:20車デポ地点

 

山行後記

 このルートは容谷から小五郎の逆縦走の方が良いだろう。容谷から最後の急斜面の下りは慣れない人には危険だ。ただし読図の楽しさは減少する。

 最近はまめに読図し、さらにパーティ全員での読図も心がけている。登山の基本であるし、こうすることにより道迷いは格段に減るはずだ。記憶に新しい乳頭山での遭難騒ぎなど起こりえない。何より読図は面白いのだからこれを楽しまない手はない。

 容谷以後は波線を完璧にたどろうと思ったが最後の沢で車道に上がり出来なかった。この沢をそのまま下り前方の高速の橋を抜ければ良いだけだったが、沢のあまりの不快さに我慢が出来なかった。それにしてもあの道は反対(西)へ行けばどこに続くのだろう。


小五郎山〜容谷山 周回  〜初めての笹薮〜

記)fumi

小五郎山。この山域では一際目をひく大きな山である。以前、安蔵寺山から眺めた折、南方に屹立するこの山にいつかは登ってみたいと思っていた。

それから1年余り経た今回、fukuさん、および他会の方々との計4名で登る機会を得た。ただ、それには小五郎山山頂から北の カリマタ峠 に下り東へ迂回しつつ容谷山へ周回、薮こぎで下山するとの何とも重いおまけ付きである。私の過去の山行は、整備された道でのピストン主体であるため、山頂から先は未知の世界が待ち受けている。期待と不安を織り交ぜた山行が始まった。

今にも降り出しそうな空を仰ぎ、合羽を着用し向垰を7時30分出発。十王コルからの稜線は風は冷たいものの順調に歩を進めた。2時間弱で雪が残る山頂に到着、期待どおり展望は抜群である。

いつもなら、ここでゆっくり景色を味わい休憩した後、来た道を引き返すのだが、今回はここからが本番である。背丈まである笹薮に分け入り足元が見えない中を歩く。先頭のAoi-toriさんは笹薮の中でも踏み跡が見えているのだろう、まるで自分の庭を歩くように早い。私は躓いたり転んだりしながらついていくのが精一杯である。

それでも、カリマタ峠に着く頃にはようやく笹にも慣れてきた。ここからは先頭を歩く。

いや、歩くと言うより泳ぐと言う感覚である。緑色の笹の海で平泳ぎするうち不思議なことに楽しくなってきた。童心に返ったように何も考えず無我夢中。時折踏み跡を外すが、それもご愛嬌。容谷山稜線手前の急登ではスリップして手間取ったが、昼前には容谷山に着いた。何しろ3時起床で慣れない笹薮を歩くとさすがに空腹である。山で今回ほどの空腹感は初めてだ。むすびとラーメンでやっと一心地ついた。後になって気付いたが、これは子供の頃の外遊びを思い返し、大変懐かしい感覚にとらわれた。なるほど、こういうことなのか。薮も雪も沢も根っこは同じなのだろう。

 さて、いよいよ下山だが、ここからは本日の核心である破線トレースだ。間違えるととんでもない目に遭いそうなので、一生懸命に地形図とコンパス、周囲の状況を睨みながら歩く・・つもりだったが、足元には踏み後がしっかりある。所々にテープもある。残念そうなCLだが、私は内心ホッとした思いもあった。とは言え、急傾斜の下りに加え、岩あり蔓あり棘ありでふもとに着く頃には手足は傷だらけになっていた。

 心配した天候にも恵まれ、予想より随分早く下山できた。私にとって今年最後の山行は最も印象的かつ刺激的な体験になった。これが山歩きの原点なのだろう。人間の秘めている何かを呼び覚ますような、新たな世界を少しだけ覗くことができた山行であった。